今回はウォルマート(WMT)の理論株価(適正株価)を算出します。
DCF法を用いた理論株価の計算方法の概要についてはこちらをご参照ください。
ウォルマート(WMT)の企業情報
ウォルマート(WMT)は、世界最大の小売り企業です。ウォルマートは、世界27ヶ国にビジネスを展開させ、世界中で220万人(そのうち米国は150万人)の従業員を雇用しています。
「Every Day Low Price (EDLP) 」を基本戦略に掲げており、いつでもどこでも、幅広い商品を低価格で提供することを目指しています。
主な事業は3つあります。地域別に事業を分けています。
Walmart U.S. (ウォルマート米国)
ウォルマートの米国事業は、米国50州とプエルトリコに展開しており、スーパーセンター(複合商業施設のこと)、ディスカウントストア、近隣店舗など、さまざまな形式で幅広い商品を低価格で提供しています。
Walmart International(ウォルマート インターナショナル)
ウォルマート インターナショナルは、米国を除く世界26ヶ国でビジネスを展開しています。メキシコ、カナダ、中国、日本(西友として事業展開)などが主要な市場です。
Sam’s Club(サムズクラブ)
サムズクラブは、1983年に創設された会員制の店舗です。全米で約600店舗、他国で約200店舗を展開しています。サムズクラブは会員制というだけあって、スキャン&ゴー、商品ピックアップ、宅配サービスなど、顧客にプラスアルファの価値を提供することに重点を置いているようです。
リソースはこちら↓のウォルマートホームページです。

ウォルマート(WMT)の株価推移
ウォルマート(WMT)の株価推移を確認します。過去5年の株価チャートです。
ウォルマートは、2015~2016年にかけて株価が大きく調整しました。ご存知の通り、アマゾンのEC事業(電子商取引事業)の脅威により、店舗型の小売業は駆逐されると思われたためです。
しかし、ウォルマートは2016年9月にネット通販のジェット・ドット・コムを33憶ドルで買収すると、その後も中国やインドといった成長市場でEC事業に参入するなど、着々とアマゾンへの対抗措置を進めています。また、ネット通販で購入した商品を店舗でピックアップできるサービスも展開しており、幅広い店舗網を有するウォルマートならではのショッピング体験を提供しています。
それらの事業戦略が好感され、2017年以降、株価は右肩上がりの成長を続けています。実に、2015年11月につけた底値の水準から235%の上昇率です。その間のS&P500種指数の上昇率が60%前後であることと比べれば、いかにウォルマートの上昇率が凄まじいかが分かると思います。

本年8月の2Q決算では、予想を上回る決算と通期業績引き上げを発表しており、好調な経営状況が株価にも反映されています。
ウォルマート(WMT)の理論株価
本題のウォルマート(WMT)の理論株価(適正株価)を算出していきます。
前提条件
先ずは前提条件です。
財務データは直近の通期決算をMorningstarから、発行済株式数については最新のものをYahoo financeから引用しています。
②フリーキャッシュフロー(FCF)は2019年の実績となります。Morningstar社の算出結果をそのまま採用しています。
③2020~2024年までのFCF成長率は2%に設定しました。ウォルマート(WMT)は過去10年のFCF成長率が約2%であったことからこの数値としました。
④2025年以降のFCF永久成長率は、過去の米国インフレ率である2%に収束していくと予想ました。
⑤割引率はWACC(加重平均資本コスト)とも呼ばれます。本サイトでは、割引率は7%に設定しています。詳しくはDCF法を用いた理論株価の計算方法をご参照下さい。
理論株価
上述の前提条件の下、理論株価を算出した結果、ウォルマート(WMT)の理論株価(適正株価)は「78.32ドル」となりました。
10/12時点の株価が120.24ドルなので、約54%ほどオーバーバリュー(割高)となります。
投資方針
ウォルマート(WMT)は世界中の人々の生活に根差した企業であり、その安定性はとても魅力的です。また、同社のスケールメリットを生かした価格競争力は、他の小売業者には無い強みだと思います。
一方で、今回の理論株価(適正株価)の算出結果では、現在の株価水準はかなり割高という結果になりました。同社は米国の中でも優良株の1つとは思いますが、現在の株価には実力以上の期待が上乗せされているように思います。従って、現在の株価水準での投資は見送りとなりそうです。
ちなみに、米国株投資家の中には、2015~2016年にかけて、愚直に同社株を配当再投資されていた方々もいらっしゃると思うのですが、すごいですよね。もし、当時に私が保有していたら、アマゾンの脅威を恐れて手放していたと思います。同社の株価推移を眺めると、「優良株であってもいかに長期で保有することが難しいか」「自分の信念を曲げずに投資に取り組むことが大切か」を考えさせられます。
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