今回はビザ(V)の理論株価(適正株価)を算出します。
DCF法を用いた理論株価の計算方法の概要についてはこちらをご参照ください。
ビザ(V)の企業情報
ビザ(V)は、世界中で決済ネットワークを提供するテクノロジー企業です。
主なセグメント(売上収益構造)は以下の通りです。
- Service Revenue (サービス):顧客の決済ネットワーク利用をサポートするビジネス
- Data Processing Revenue(データ処理):VISAの決済ネットワークが使用されるたびに支払われる手数料
- International Transaction Revenue(国際取引):国際的な送金処理手数料、通貨両替手数料
- Other Revenue (その他)
※Client incentives(顧客であるカード会社等に支払うインセンティブ)は収益にマイナスに働きますがここでは除外しています。
※数値はビザ(V)の2019年通期決算資料に基づきます。
ビザ(V)の株価推移
ビザ(V)の株価推移を確認します。
2018年末に調整を挟みましたが、株価は順調に上昇しています。
直近の2019年通期決算では、EPSが前年比20%増となるなど業績は非常に堅調です。
一方で、S&P500種指数が上場来高値を更新する中で、ビザ(V)の株価は上値が重くなっています。これまで堅調に推移していた分、利益確定に押されている印象です。
ビザ(V)の理論株価
さて、本題のビザ(V)の理論株価(適正株価)を算出していきます。
前提条件
先ずは前提条件です。
財務データは2019年通期決算資料から引用しています。
②フリーキャッシュフロー(FCF)は2019年の実績となります。
③2020~2024年までのFCF成長率は14%に設定しました。
ビザ(V)の2010~2019年のFCF成長率は年率で約19%となります。また、直近5年のFCF成長率は年率で約14%となります。
ビザ(V)が発表している2020ガイダンスを見ると、調整後EPSの成長予想はMid-teens(10%台半ば)と予想されています。
以上のことから、ビザ(V)の今後5年間のFCF成長率を14%に設定したものです。
④2025年以降のFCF永久成長率は、過去の米国インフレ率である2%に収束していくと予想ました。
⑤割引率はWACC(加重平均資本コスト)とも呼ばれます。本サイトでは、割引率は7%に設定しています。詳しくはDCF法を用いた理論株価の計算方法をご参照下さい。
理論株価
上述の前提条件の下、理論株価を算出した結果、ビザ(V)の理論株価(適正株価)は「169.57ドル」となりました。
11/8時点の株価が178.97ドルなので、適正株価よりも6%高い数値ではあるものの、ほぼフェアバリュー(適正値)となります。
ビザ(V)への投資方針
ビザ(V)の適正株価を算出したところ、現在の株価はほぼフェアバリュー(適正値)という結果になりました。
一方で、現在の株価は、少なくとも今後5年間については年率14%程度の利益成長が織り込まれているということも分かりました。これを踏まえれば、先日の2019年通期の好調な決算を受けても、株価が高値追いにはならず、足踏みしていることも頷けます。
それにしても、年率14%の利益成長というのは、一般の大企業では通常考えられないことです。ただ、ビザ(V)にはそうした市場の期待に応えてきた確かな実績があり、今後のキャッシュレス社会の加速も追い風ですので、今後も力強い成長を見せてくれると思います。
以上のことから、個人的には、ビザ(V)を現在の株価水準で購入することは、同社の成長性を踏まえれば、将来的に報われる可能性はあると思います。
ただ、ビザ(V)の現在の株価水準は10%台半ばの高い成長率を織り込んでいるということも、併せて認識しておきたいところです。
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