個別株の選び方って難しいですよね。投資家であれば、将来的な株価の上昇(キャピタルゲイン)や配当収入(インカムゲイン)を期待して株を購入することは共通点だと思いますが、それを将来に亘って実現してくれる銘柄がどれなのか、これがなかなか難しい。
そこで、今回は個別株に投資する際にチェックすべき3つのポイントについてご紹介します。
先に結論を言うと、「EPS上昇」、「競争優位性」、「バリュエーション」の3つとなります。
EPS上昇
先ずはEPSの上昇です。EPSとは、一株当たりの利益を示す指標です。
EPS = 当期純利益/発行済株式数
なぜ、投資家にとってEPS上昇が重要なのかというと、一言で言えば、EPSとは「株主一口当たりの利益の分け前」だからです。EPSが上昇するということは、株主はより多くの分け前をもらえるということなので、皆にとって魅力的な株になるということです。結果として、魅力的な株(人気の高い株)は株価が上昇することになります。
EPSを高める方法は、分子である当期純利益を増やすか、分母である発行済株式数を減らすか(自社株買い)の2パターンで達成できます。もちろん、分子である当期純利益が増えることは大変魅力的ですが、投資家にとってみれば、仮に利益成長が小さくても、しっかりと自社株買いによって発行済株式数を減らしてくれればEPSの成長の恩恵を受けることができます。
【シスコシステムズ(CSCO)EPSと発行済株式数の推移】
例えば、上図は最近株価が急落したシスコシステムズ(CSCO)のEPSと発行済株式数の推移です。CSCOはさほど高い利益成長率を達成しているわけではありませんが、着実に自社株買いによりEPSを成長させ、株主還元を行っています。結果として株主利益は着実に高まっているといえます。(私は、先日の急落でCSCOの新規株主になりました)少なくとも、まずは過去にEPSを着実に上昇させてきた銘柄を選択する必要があります。
また、将来のEPS成長率は更に重要です。将来の予想は大変難易度の高いものとなりますが、以下に記載する競争優位性を有する銘柄で、将来的に安定したEPS上昇を達成できる見込みのある銘柄を選択する必要があります。
競争優位性
次に競争優位性です。いわゆるワイドモート(深い堀)と呼ばれるものですが、具体的には、「ブランド、特許などの他の企業が持たない無形資産を持つ」、「参入障壁が高い」、「顧客の乗り換えコストが高い」などの特徴(製品・サービス)を持つ企業です。
例えば、世界のクレジット決済システムの60%弱のシュアを持つVISAのような銘柄は、強力なブランドを有しており、クレジットという信用がものを言う世界では、顧客がわざわざ新規参入のブランドを選ぶ理屈はありません。過去から安心の実績を残しているVISAを当然のように選択するでしょう。
これが競争優位性(ワイドモート)です。個別株を選ぶ際には、この競争優位性(ワイドモート)を有する銘柄をしっかりと選択する必要があります。
例えば、モーニングスターでは、Wide Moat ETFを組成しており、モーニングスターが考えるワイドモートな企業を見ることができます。(ご参考まで)
バリュエーション
最後にバリュエーションです。バリュエーションには大きく、「オーバーバリュー(割高な価格)、「フェアリーバリュー(適正な価格)」「アンダーバリュー(割安な価格)」があります。
優良株ほどなかなかアンダーバリュー(割安な価格)まで下がることはありませんが、少なくともフェアリーバリュー(適正な価格)で購入したいものです。
私は、フェアリーバリュー(適正な価格)を把握するための指標としてディスカウントキャッシュフロー法(DCF法)を用いています。
DCF法とは、会社が将来に亘って生み出す期待キャッシュフロー全体を割引率で割り引いて、企業の現在価値(理論株価)を算出する方法です。
詳しい事は別記事にしたいと思いますが、例えば、最近、ビザに関して算出した結果は以下の通りです。
このケースでは、今後5年間はVISAが年率で8%ほどのFCF成長率を達成し、その後は2%の成長率に落ち着くという予想で算出しています。
その結果、VISAの理論株価は169ドルとなりました。現在の株価は176ドルですので、約4%割高ということになります。
従って、バリュエーションを重視した投資としては、VISAの株価が169ドル程度まで下がるまでは投資を控えるという判断になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。個別株の投資の際に重視するポイント「EPS上昇」、「競争優位性」、「バリュエーション」について説明しました。
個別株投資の銘柄選びは非常に難しいですが、投資家にとって、銘柄物色をしているときほど楽しいものはありません。皆さんも自分にとって信頼できる銘柄を是非見つけてみてください。
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