手詰まり感の強い日銀の金融政策
日銀は10月30日から31日にかけて、金融政策決定会合を予定しています。

日銀の黒田総裁は、11日の衆議院予算委員会で、「金融政策の余地は十分ある」「緩和のプラス効果と副作用を十分勘案して、ベストな政策をとっていきたい」と語っていますが、もはや金融政策は手詰まりとの声も多いようです。
ゆきまるが調べたところでは、日銀が取り得る金融政策は主に4つとのこと。しかし、いずれも実現のハードルは高そうです。
国債買い入れの増額
1つ目は、日銀が購入する国債の量を増やすという手段です。
(Bloombergから引用)
しかしながら、先日の記事でも触れたように、日銀の国債購入量は、2016年の80兆円規模が頭打ちで、その後、国債購入量は減少の一途を辿っており、いわゆるステルステーパリングに舵を切っています。
従って、今更、国債購入量を増やすという選択肢は取らないと思われます。
上場投資信託(ETF)の買い入れ増額
2つ目は、日銀が年間6兆円を目途に購入している上場投資信託(ETF)の購入枠を拡大する手段です。しかし、株式市場を国が買い支えるような愚策を行っているのは日本だけであり、株式市場の適正な値付けを歪めている元凶そのものです。これ以上、日銀の株式占有率を高める手段を取るのは、コーポレートガバナンスの面でも弊害が大きく、拡大の余地は少ないと思われます。
短期マイナス金利の深堀り
3つ目は、現在0.1%を誘導目標としている短期金利を更に引き下げる手段です。

しかしながら、Bloombergの記事によると、短期金利の引き下げを拡大した場合、銀行の収益が一段と圧迫され、預金金利のマイナス化(つまり預金口座の維持手数料の徴収)に繋がりかねず、実現は難しいとのことです。

また、国内金融機関からも更なる引き下げに慎重さを求める声が出ています。
長期金利の誘導目標の引き下げ
4つ目は長期金利の誘導目標の引き下げです。現在日銀は、イールドカーブコントロール(長短金利操作)により、長期金利の誘導目標をゼロ%程度(±0.2%)としていますが、これを更に引き下げる手段です。
しかしながら、長期金利の引き下げもまた銀行の収益悪化や運用難に繋がる副作用があり、慎重に対応する必要があります。
日銀、進むも地獄退くも地獄か
以上のことを踏まえると、日銀の金融政策の余地は限りなく小さくなっているように思います。そのような中で追加緩和に踏み切れば、副作用が強まるリスクがあります。
一方で、FRB(米国)やECB(欧州)が政策金利引き下げや量的緩和再開を決める中で、日銀が何も手を打たなければ、円高・株安に繋がり国内景気を冷やしてしまうリスクがあります。
つまり、日銀が置かれた状況は「進むも地獄退くも地獄」というわけです。す。
日銀は今月末の金融政策決定会合をどのように乗り切るのでしょうか。いつものように、「緩和やるぞオラ!」「躊躇しないぞオラ!」と虚勢を張って乗り切るのでしょうか。
日銀の政策動向は日本で暮らす我々の生活にも大きな影響を与えますので、今後も動向をチェックしていきたいと思います。
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