※2020年3月21日、コメント刷新。
今回はホーム・デポ(HD)の理論株価(適正株価)を算出します。
DCF法を用いた理論株価の計算方法の概要についてはこちらをご参照ください。
ホーム・デポ(HD)の企業情報
ホーム・デポ(HD)は、米国ホームセンターの最大手です。建築材、キッチン、浴室、フローリング、電気製品、配管、ペンキ、工具類、園芸用品まで住環境に関わるあらゆる商品を扱います。
ホーム・デポ(HD)の事業は主に3つに分類されます。
DIY事業(Do It Yourself)
自分でリフォームを行う顧客向けの商品販売や工具レンタルです。米国では、DIYが非常に盛んで、日本のように新築信仰はありませんから、中古住宅市場も大きく、各自でリフォームしながら住む文化が根付いています。
DIFM事業(Do It For Me)
建築・修繕工事を業者に委託できるサービスです。難しい工事などは業者に委託できます。
プロ向け事業
業者向けの事業です。建築用機器や工作機器のレンタル・メンテナンスサービスなどがあります。
同社は2008年頃からほとんど新規出店はしていませんが、近年はITへの投資に積極的です。
(The Home Dpot ホームページから引用)
ホーム・デポ(HD)のホームページを見てみると、同社の戦略が「ONE HOME DEPOT」という表題で記載されていました。以下、要点です。
- ホーム・デポは、顧客に対して、オンラインと実店舗によるシームレスで相互接続されたショッピング体験を通じて最高のサービスを提供し、株主価値の向上とマーケットシェアの拡大を図ります。
- 我々は、オンラインおよび店舗でのショッピング体験を継続的に改善し、従業員教育も強化しています。私たちはユニークで包括的な商品の提供、イノベーションの継続、そして、他に例を見ない利便性と価値の提供に努めていきます。
- そのために、店舗、従業員教育、デジタル体験、サプライチェーン等への投資に複数年にわたって約110億ドルを投資します。
こうした戦略の下、オンライン上でのハウツーコンテンツの拡充、オンライン注文商品の物流センターの建設、AR機能のアプリ配信(商品を部屋に置くとどう見えるかを事前に確認できる)などを推進しています。
顧客はオンライン上で商品知識を高めた上で、そのまま注文したり、店舗に出向いて実物を確認したりとシームレスで相互接続的なショッピング体験を楽しむことができます。
ホーム・デポ(HD)の株価推移
ホーム・デポ(HD)の株価推移を確認します。
新型コロナウィルスの感染拡大の影響ならびに近い将来のリセッション(景気後退)が懸念されて、株価は直近高値の247.36ドルから152.15ドルと39%下落しています。一般に資本財セクターは景気動向の影響を非常に受けやすく、同社も例外ではありません。
ホーム・デポ(HD)の理論株価
さて、本題のホーム・デポ(HD)の理論株価(適正株価)を算出していきます。
前提条件
先ずは前提条件です。
財務データは直近の通期決算をMorningstarから、発行済株式数については最新のものをYahoo financeから引用しています。
②フリーキャッシュフロー(FCF)は直近の通期決算の実績となります。Morningstar社の算出結果をそのまま採用しています。
③2020~2024年までのFCF成長率は2%に設定しました。ホーム・デポ(HD)のFCF成長率は2010年から現在までで年率10%に及びます。一方で、リセッションの可能性とその影響を加味して、保守的に年率2%程度の設定に見直すこととしました。
④2025年以降のFCF永久成長率は、過去の米国インフレ率である2%に収束していくと予想ました。
⑤割引率はWACC(加重平均資本コスト)とも呼ばれます。本サイトでは、割引率は7%に設定しています。詳しくはDCF法を用いた理論株価の計算方法をご参照下さい。
理論株価
上述の前提条件の下、理論株価を算出した結果、ホーム・デポ(HD)の理論株価(適正株価)は「156.49ドル」となりました。
3/21時点の株価が152.15ドルなので、ほぼフェアバリュー(適正値)の水準となります。
投資方針
ホーム・デポ(HD)の株価は新型コロナウィルスの感染拡大の影響により大きく調整しています。
一方で、ホーム・デポ(HD)のように、人々の「衣・食・住」や「文化」に根ざした企業は、中長期的に見れば安定したキャッシュフローが期待でき、株主に着実なリターンをもたらしてくれるものと思います。
ゆきまるは、同社株がフェアバリュー(適正値)と考えられる今のうちに、株価を買い増していきたいと考えています。
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