米連邦準備理事会(FRB)による利下げや将来的なリセッション(景気後退)への懸念が広がる中、金や金鉱株への投資が注目を集めています。
SPDRゴールド・シェアETF(GLD)の株価推移を見ると、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始(2019年7月)に先駆けて、2018年末頃から上昇相場に入っています。
米国株投資家の中には、金・金鉱株への投資を考えている方もおられるのではないでしょうか。そこで、今回は「金と金鉱株のどちらに投資する方が良いか」を考えてみたいと思います。
金ETFと金鉱株ETFのリターンを3つのケースで比較
今回の比較検証で用いる指標は以下の3つとします。
- 金:SPDRゴールド・シェアETF(GLD)
- 金鉱株:ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF(GDX)
- S&P500インデックス(SPY)
そして、金ETFと金鉱株ETFのパフォーマンスを分析するために、以下の3つのケースでトータルリターンを確認します。
- ケース1 長期運用のパフォーマンス
- ケース2 相場下落時のパフォーマンス
- ケース3 相場回復時のパフォーマンス
それでは、各々について確認していきましょう。
ケース1 長期運用のパフォーマンス分析
先ずは長期運用のパフォーマンスを見ていきます。
検証期間:2006年5月※~2019年9月 (※GDXの組成が2006年5月であるため)
検証結果:金ETF(GLD)のリターンが108%であったのに対して、金鉱株ETF(GDX)のリターンは-17.9%となりました。過去の実績からは、長期運用では金ETF(GLD)の方がパフォーマンスが高いと言えそうです。
ケース2 相場下落時のパフォーマンス分析
次は、相場下落時のパフォーマンスを見ていきます。
検証期間:2007年9月~2009年3月(リーマンショックにより株式市場が最高値から最低値まで暴落した期間)
検証結果:株式市場が大暴落(SPY-51.0%)する中、金ETF(GLD)は+34.8%のパフォーマンスを見せました。また、金鉱株ETF(GDX)は-18.2%まで下落率を抑制しました。金・金鉱株ともに株式市場の下落への耐性は高いと言えそうです。
しかしながら、金と金鉱株ともに、株式市場の下落初期には同様に下落していく点には注意が必要です。そして、その下落時に、金鉱株ETF(GDX)は、ボラティリティが金ETF(GLD)に対して2倍ほど高いために、結果として金ETF(GLD)よりも大きな下落幅となったことが分かります。
ケース3 相場回復時のパフォーマンス分析
最後は、相場回復時のパフォーマンスを見ていきます。
検証期間:2009年3月~2009年9月(株式市場がリーマンショックの底値から回復した期間)
検証結果:金ETF(GLD)が+8.7%の上昇にとどまる中、金鉱株ETF(GDX)は+45.7%まで大きく上昇しました。金鉱株ETF(GDX)はそのボラティリティの高さから短期的な上昇局面には非常に強いことが分かります。
比較検証の結論
ここまでの3つのケース(長期・下落時・回復時)の分析結果から言えることは以下の通りです。
- 長期運用を前提にすれば、金ETF(GLD)を選択した方が高いパフォーマンスを期待できる。
- 相場の下落時に強いのは金ETF(GLD)であり、金鉱株ETF(GDX)はそのボラティリティの高さから一時的に大損を被る可能性がある。
- 上昇相場においては短期的には金鉱株ETF(GDX)の方が高いパフォーマンスを期待できる。
これらの点を踏まえると、長期的な運用を心がける人にとっては金ETF(GLD)を選択する方が良いように思います。確かに金鉱株は短期的な上昇相場に乗れば高いパフォーマンスを期待できますが、相場下落時のリスクが大きく難易度が高い投資だと思います。長期的な運用の中でアセットアロケーションの一部に組み込むとすれば金ETF(GLD)でしょう。
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