効率的市場仮説の罠

投資哲学

効率的市場仮説とは何か

効率的市場仮説という理論があります。効率的市場仮説とは、「市場は常に完全に情報的に効率的である」とする仮説です。ここでいう「情報的に効率的である」というのは、市場において価格を決定づける情報は、全て瞬時に価格に織り込まれているという意味です。

従って、効率的市場仮説に従えば、株価は常に公正な価格で取り引きされており、投資家は市場を出し抜くこと(適正価格よりも安く買うこと、あるいは高く売り抜けること)はできないとされています。

効率的市場仮説の罠

一方で、効率的市場仮説については「市場は全ての情報を織り込む」という点に注意が必要です。

そもそも「全ての情報」とは何でしょうか。

「A社が新製品を開発した」「B社が不正会計していた」「C社が大規模な自社株買いを発表した」様々な情報があります。左記に書いたのは実際に起きた「事実」としての情報です。

しかしながら、市場が織り込むのは「事実」だけではありません。市場関係者の「憶測」も織り込むのです。

「そろそろリセッション(景気後退)に入りそうだ」「NYダウは30000ドルを目指すだろう」など様々な憶測が飛び交っていますが、市場はそうした憶測を情報として総合的に織り込んでいます。

しかし、憶測は所詮憶測です。いつも正しいとは限りません。だからこそ、現実の世界では、株価が適正値を上回る「バブル」や逆に適正値を下回る「○○ショック」が起きています。

つまり、効率的市場仮説は全ての情報を織り込むという点で正しいのですが、その中に含まれる「憶測」が正しいとは限らない、という点に注意を向けておく必要があります。

投資家は市場とどう向き合うか

では、投資家は市場とどのようにして向き合えば良いのでしょうか。

市場が事実だけではなく、憶測を織り込んでおり、それが正しいとは限らないとしても、個人投資家がその誤ちを発見し、市場をアウトパフォームするし続けることは極めて困難ではあると言えます。

それは、実際に殆どのファンドが長期で市場平均をアウトパフォームできていない現実からも明らかです。

とはいえ、効率的市場仮説を鵜呑みにして、いつも市場に身を委ねる思考は危険だとも思います。過去には、ITバブル崩壊やリーマンショックなど、行き過ぎた市場の是正が何度も繰り返されてきました。その都度、退場を余儀なくされた個人投資家がどれだけ生み出されたことでしょう。

個人投資家には各々のリスク許容度があります。そしてその許容度は奈落の底に突き落とされたときに実感として理解するケースが相応にあります。ただし、その時に気付いても既に手遅れであることも多いのです。

だからこそ、個人投資家は「市場の憶測に目を向けそれを疑ってみる」という習慣が必要だと思います。そして、市場が「過度に楽観」していると感じるときは、よりディフェンシブな投資を心がけ、逆に市場が「過度に悲観」していると感じるときは、積極的に優良株の価値に目を向けるという投資行動が必要であると思います。

最後に、効率的市場仮説の罠について、面白い例え話がハワード・マークス著「投資で一番大切な教え」に載っていましたのでご紹介します。

効率的市場仮説の信奉者である金融論の教授が、教え子と一緒に散歩している。

「あそこに落ちているのは10ドル札では?」

という学生に教授が答える。

「いや、そんなわけはない。もし10ドル札なら、誰かが拾ってしまっているはずだ」

教授が立ち去ったあと、学生は10ドル札を拾い上げ、一杯のビールにありついた。

(出典:ハワード・マークス著「投資で一番大切な教え」)

 

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